《帯状疱疹後神経痛》
帯状疱疹の主な症状は、体の左右どちらかに生じる痛みやかゆみを伴う発疹です。痛みを伴う発疹は、まもなく小さな水ぶくれに変化すると次第に数を増し、一部には膿がたまります。その後かさぶたとなって皮膚症状は治癒し、同時に痛みも治まります。皮膚症状が治癒した後も痛みが残ることがあり、これは帯状疱疹後神経痛(PHN)ピーエイチエヌと呼ばれる合併症で、帯状疱疹の後に一定の頻度で発症するという報告があります。
帯状疱疹痛(急性期)には利水と清熱が必要で、急性期でも寒証の場合は温める処方を使います。
帯状疱疹後神経痛(PHN)(慢性期)は、皮疹消失後に自律神経系の過亢進や中枢神経系の興奮、炎症等のストレスと体内にある熱が冷めてない状態等により引き起こされると考えられます。そして、軽い接触だけでも痛む「アロディニア」と呼ばれる痛みなどがある場合は、神経の興奮を鎮める漢方薬が効果的です。
症例1.帯状疱疹後神経痛
50代女性、主訴:胸部の帯状疱疹後神経痛
ブラジャーの右上の位置に痒みを伴う湿疹ができたのですが、かぶれによるものと思い皮膚用薬を塗っているとどんどん悪化して、そのうち痛みがでて我慢できなくなりました。皮膚科に行くと薬が出て、1週間くらいで湿疹は治まったのですが、痛みが取れず、病院に行きました。痛み止めが効かなければ神経ブロック注射しか方法がないと言われたのですが、2か月以上痛みが治まりません。
困っている症状
病院での診断は、帯状疱疹後神経痛
・服が触れても痛い
・痛み止めが全然効かない
・夜も気になって眠れない
・湯舟に浸かれない
問診と気功(糸練功)で確認したところ、お困りの症状は炎症と、血の巡りが悪くなっていることにより起こっている症状だと考えられます。
症状を改善するために、
①血行を促すために温性を持つ漢方薬
②清熱作用を発揮しながら神経痛を改善する漢方薬をお出ししました。
飲み始めてから、徐々に鎮痛剤の量が減ってきて、服があたっても痛みを感じないようになってきました。2ヶ月くらいの服用で、いったん止めるとまた少し痛みが出たので、その後しばらく飲み続け、完全に痛みが取れたので服用を中止しました。