症例

数か月消えない顔の赤みと肝臓の数値改善の漢方治療

《顔の赤み(頬の赤み・湿疹)の改善》

風邪をひいた後や体調を崩した後に、
・ 顔に湿疹が出る
・ 湿疹は治まったのに、赤みだけが残る
・ほてりやすく、化粧でも隠れにくい

といった「顔の赤み」に悩まれる方は少なくありません。

特に、
・更年期世代
・ストレスが強い
・肝機能の数値を指摘されたことがある
方では、一時的な皮膚トラブルではなく、体の内側の乱れが背景にあることも多く見られます。

西洋医学では…

顔の赤みや湿疹は、
皮膚炎
・酒さ様皮膚炎
・アレルギー反応
などとして、外用薬(ステロイド・抗炎症薬)や内服薬が使われることが一般的です。

しかし、
塗っている間は落ち着くが、やめると再燃する
・原因がはっきりしない
・血液検査で肝機能異常を指摘され、不安が残る

といったケースも少なくありません。

東洋医学では顔の赤みをどう捉える?

漢方では、顔の赤みを
「皮膚だけの問題」ではなく、内臓と気血水の乱れのサインとして捉えます。

特に関係が深いのは、
肝(ストレス・解毒・自律神経)
・血(炎症・皮膚の栄養)
・気(巡り・熱の発散)

顔は「気血が集まりやすい場所」のため、
体内に
・余分な熱
・滞った血(瘀血)
・解毒しきれない老廃物
があると、赤みとして表れやすくなります。

主な漢方的体質背景

・肝気鬱結(ストレスで熱がこもる)
・肝血瘀滞(血の巡りが悪く赤みが残る)
・自律神経の乱れによる冷えのぼせ
・解毒力の低下(肝機能負担)


  • 症例:50代女性

顔の赤み(風邪後の湿疹残存)・肝機能異常の改善症例

【来局時の背景】

50代に入り、更年期症状を自覚するようになった頃、風邪をきっかけに両頬に湿疹が出現
皮膚科での治療により湿疹自体は治まったものの、頬の赤みだけが消えず、数か月以上持続していた。また、健康診断で肝機能(AST・ALT)の軽度上昇を指摘され、「この赤みと関係があるのではないか」と不安を感じ来局。

【主訴】

頬の赤みが慢性的に続いている
・化粧をしても赤みが透けて見える
・疲れると赤みが強くなる

【随伴症状】

顔がほてりやすい一方で、下半身は冷える
・夕方以降にのぼせやすい
・寝つきが浅く、途中で目が覚める
・イライラしやすく、ストレスをため込みやすい
・肩こり・首のこわばり
便秘気味
・月経はない

【西洋医学的所見】

・皮膚:湿疹消失後の持続性紅斑
・血液検査:AST・ALT など軽度高値
・明らかな肝疾患の診断はなし
・経過観察と生活指導のみ

【漢方的所見・体質評価】

問診・舌・腹・体表反応を総合すると、
以下の状態が重なっていると判断。

肝気鬱結(かんきうっけつ)

・ストレスをためやすい
・緊張が抜けにくい
・気の巡りが悪く、熱が上にこもる

瘀血(おけつ)

・赤みが「消えずに残る」
・肩こり・首こり
・皮膚トラブルが長引きやすい

自律神経の乱れ(冷えのぼせ)

・上半身はほてるが下半身は冷える
・睡眠の質が低下

肝の解毒・調整機能の低下

・肝機能数値の上昇
・疲労回復が遅い

👉 「肝の不調を中心に、熱・瘀血・自律神経のアンバランスが皮膚に現れている状態」
と見立てた。

【治療方針】

「赤みを消す」ことを目的にせず、
肝の負担を減らし、巡りを整え、体質を立て直すことを優先。

症状の変化に合わせて段階的に対応。

【使用した漢方的アプローチ】

自律神経を整える薬茶

・緊張を緩め、気の巡りを改善
・ほてり・イライラの軽減
・日常的に無理なく継続できるよう調整

解毒を助け、リンパなどの汚れを流す補助薬

・肝の負担軽減
・余分な熱・老廃物の排出促進
・皮膚への炎症波及を抑える

瘀血を改善する補助薬

・顔面に停滞した赤みの改善
・血流を整え、皮膚の修復力を高める

体質を整えながら肝機能を支える漢方薬

・更年期の体調変動に対応
・肝血のバランスを整え、再発予防

※途中、冷えのぼせが強く出た時期があり、一時的に処方を変更して調整を行った。

【経過】

📌 2ヶ月
・ほてりがやや軽減
・睡眠の質が改善
・イライラが減る

📌 3〜4ヶ月
・頬の赤みが明らかに薄くなる
・疲れにくくなる
・鏡を見るストレスが減る

📌 6ヶ月
・赤みはほぼ気にならない程度
・冷えのぼせの波が小さくなる

📌 8ヶ月
・頬の赤みは完全に消失
・肝機能数値も安定
・治療終了

現在は、養生のみで体調管理を行っている。

【考察】

顔の赤みは皮膚表面の問題に見えて、実際には肝・血・自律神経の乱れが複合的に関与しているケースが多い。

本症例では、外側からの治療に頼らず内側のバランスを整えることで再発なく改善に至ったと考えます。

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