症例

胆石の痛み

《胆石》

胆石症とは胆嚢の中や胆管にかたまりができた状態をいいます。多くが胆汁中のコレステロールが蓄積したもので(胆汁の成分ビリルビンなどが固まる場合もある)、原因はコレステロールの多い欧米食です。最初は泥のような状態(胆泥)から、砂粒状(胆砂)になりそれが徐々に大きくなり胆石になります。ほとんどの胆石は胆嚢にとどまっている限り、長期間何の症状もおこりません。しかしある程度の大きさの胆石が胆嚢から胆管に移動し詰まってしまうと、右脇腹に強烈な痛み(胆石疝痛)が生じます。痛みはみぞおちや背中・右肩甲骨の下部に広がり、悪心・嘔吐を生じます。また胆管が詰まると細菌感染が生じて発熱・悪寒・黄疸などの胆嚢炎が出現します。

胆石疝痛が生じたら入院が基本となります。退院後に疝痛を繰り返す方では手術や胆石を溶かす薬物療法(ウルソ等)が使われます。痛みがない場合は食事療法が基本で、時に衝撃波胆石破砕術によって胆石を体外から砕く治療も行われます。胆石が小さければ胆管を通ってそのまま排泄されることもありますが、このような食事療法・薬物療法では再発するケースも多くあります。

漢方製剤は胆石に伴う症状を治すもの(柴胡剤と呼ばれるもの)と、痛みを緩和するもの(芍薬甘草湯など)、小さい結石の排石促進薬などがあります。また、民間薬的には連銭草、金銭草などがよく使かわれます。これらの民間薬は継続して服用することで再発をかなり予防できるといわれています。

 

症例.胆石

50代男性、主訴:胆石(疝痛あり)

激痛があり病院に行くと検査で胆石と診断された。考えてみると最近食後に胃がもたれたり、たまに下痢をすることがあった。食事の量も以前より減ってきている。お酒が好きでほぼ毎日飲んでいて、酒の肴も油物が多い。手術を勧められたが、注射で痛みがすぐ止まり、その後なんともないので決心がつかなくて相談に来られました。

困っている症状

病院での診断は、胆石症

・今は何ともないが激痛が怖い

・放置して胆嚢炎になるのも怖い

 

問診と気功(糸練功)で確認したところ、何個も小さな胆石があることが分かりました。

 

症状を改善するために、

①胆石・胆砂・胆泥を溶かす漢方薬

胆のうの炎症を取る漢方薬の2種類をお出ししました。

 

また胆汁が上手く流れていない時は消化を助ける漢方薬胆管を緩める漢方薬を使い胆汁を流しています。

飲み始めてから、もたれや下痢の症状は無くなっています。半年たちましたが、今のところ痛みはなく、病院の検査も特に異常はありません。

食養生としては、魚介類に含まれるタウリンにはコレステロールでできた胆石を大きくならないようにする働きがあるので、お肉か魚か選ぶときは魚を選びましょう。野菜に含まれる食物繊維はコレステロールの体内への吸収を抑える働きがあるので意識してとるように心がけてください。また、果物に含まれるビタミンCは胆汁酸の排泄を増加する働きがあるので、おやつにはケーキやチョコレートなどよりはお勧めです。

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